EXCEL という凄く便利な道具があります。作表し、計算式を仕込んでおくと、自動的に再計算してくれて、シミュレーションなどには非常に便利です。
古くは MultiPlan,Lotus123などが主流でしたが、今は EXCEL が主流です( 各社スプレッドシートはあるけれど )。
この EXCEL 本来は、表計算ソフトというもので、あらかじめ組み込まれた四則演算に加え、複雑な計算を行う関数、高度な自動処理を行う VBA という名前のプログラム言語(BASICです)が搭載され、一般の電卓から関数電卓へ、関数電卓からプログラミング電卓へ、そして EXCEL表計算と、発展してきました。
しかしながら、本来の「表計算」ではなく「書式付きワープロ書類作成」に使われていることも場面も多いような。
EXCEL 97 から取り入れられた「セルの結合」で、表計算の結果に対する見出しが付けやすくなったのを皮切りに、罫線、EXCEL方眼紙、を駆使し、これまで「一太郎」「松」で作ってきた「書式」のある書類が作りやすくなったこともあるのでしょう、「表計算」ではなく、日本人が見やすく記入しやすい「書式付きワープロ書類作成」が主たる用途になっている気がします。
書類の作成には「ワープロ」すなわち WORD がその役割を担うわけですが、なぜか上下の位置が合わない、罫線が苦手、段組(このあたり日本人が好きな仕組みですね)作成が弱いなどなど、WORD が海外製品で、ワープロというよりはタイプライターに近いものであることも原因していると思われます。
その反面、世の中のIT化が進むに従って、「実はそれが原因で、生産性がものすごく落ちてしまっている」というお話しが、今回の「EXCEL がデータ連携を難しくしているケースが多いですよ。」です。
EXCELで段組をして書類を作成することは、「そう、出来てしまう」ので、何も悪いことではありません。書き込むことのできる書類を、EXCEL という道具で作成することで、「書類の作成」については生産性が上がります。凝りすぎた EXCEL方眼紙や、セルの結合の多用については、賛否両論・激論があるものの、ともかく、書類を作成するという特定部署の特定個人の仕事の効率化には、とても便利です。手で作成するより、よほど早く、美しい書類を作成することが可能です。
ところが、その美しい書類から、入力されたデータを活用しようとした時、非常に困ることが多いのが EXCEL の罠、です。
例えば、顧客台帳を EXCELで作成します。
印刷して、美しい書類に、手書きで書いてもらって、あるいは直接入力し、保存します。
あとから閲覧照会しやすいように、50音のフォルダを作成し、そこに、1枚1枚保存します。ファイル名は、顧客の名前にしておきます。
さて、タナカコウイチさんを探すと、「タ」のフォルダをみると、すぐに取り出せます。
ある日、山本さんという担当者が異動となり、かわりに加藤さんが担当者になりました。山本さんが担当していた顧客をすべて加藤さんにしなくてはなりません。
50音のフォルダなので、すべての顧客の EXCEL を開いて、担当者が山本さんであるものを探し、「加藤」と入力しなおします。
とてつもなく時間がかかり、面倒です。
一昨年度の新しい顧客の数と、職業が知りたい時・・・考えるだけでうんざりしますね。
工場において製造を指示する指図書も EXCEL で作成されることが多いようです。
受注の担当者が あらかじめ作成された 美しい書類に必要な項目を入力するだけで、美しい指示書が印刷できます。手書きの頃、読みにくいと現場から苦情があったことに比べれば、そうした苦情もなく、記録としても残るので、いいことだらけです。
ところが、お客様によって、あるいは現場の声によって、ある担当者が、もうひとつ項目を付け足しました。別の担当者も、自分の持っている EXCELに別の項目をつけたしました。さらに、別の担当者は、項目が多くなってきたので、不要な項目を削除、違う項目を入力することにしました。
しばらくして、もっと効率のよい指示書にしようと、管理者が気づいたときには、20種類を超える種類の指図書があり、VBAマクロでデータを収集するにも、どこに何のデータがあるのかバラバラで、1000枚を超える EXCELデータの前で、うんざりしてしまいました。
どちらもありがちな光景ですが、「書式」を作成する、まではよくても、あとからデータを活用しようとした時のことを考えていなかったケースです。
あえて悪くいえば、目先の仕事にとらわれて、目先の仕事が楽になることだけを合理化・省力化・IT化としたところ、後からものすごく困るという。「え!?コンピューターって、データの検索とか抽出が出来るんじゃないの!?」。そのように、あらかじめ考えて活用すれば、です。
昨今では、部署間の、あるいは客先とのやりとりでも、メールを使う際(FAXという場合もあります)、書式の美しい EXCELを直接添付したり、それを PDF 化して添付したり、することが、まだまだ多いようです。
すると、メールを受け取った人は、それをまた、自分の部署の 書式の美しい EXCEL に入力し、また、メール送信(または FAX送信)
実は、EXCEL は、自分の頭の中を整理整頓し、グラフ化し、周囲にお知らせする「表計算」の機能は、十分にありますが、
データとして共有し、送受信し、という ICT としての機能は、さほど十分ではありません。
そこに、見た目が美しい書類、にしてしまうと、ますます、その傾向は顕著に。
IT が得意とする合理化・省力化とは、相反する方向の「ますます、人手がかかり、時間がかかる」結果を生み出すことが多いです。
コンピューターは、コンピューターの流儀というものがあります。なにしろ機械ですから。
人が見やすく、人が理解しやすい「作表」は、コンピューターには全く理解が出来ません。
人と、機械のギャップですね。
ここに時間と手間がかかります(コストもかかります)
極端ですが、筆者は、システム化のヒアリングの際に「EXCEL」「手書き」が、登場すると、そこで「データの流れが分断され、多大なコストを産み出してしまう」と、やっつけ判断でアドバイスしています。
「最初の入力」等の入り口は、人とコンピューターの変換がどうしても必要なところです。
「印刷する」出口も同じく、どうしても必要です。
しかし、その途中、中間、部署間、他社間・・・・あとさきを考えずに EXCEL の美しい書類であることは、必ず、そこに「人の解釈と判断」が必要になります。
できるだけ、さらに入力し、さらに印刷(出力)するようなことはしない。ここがポイントですね。
例えば、受発注はどうでしょうか?
毎回違う書式の美しい EXCEL。
開いて読んで、自社の各部署に振り分けて、その連絡も EXCELなので入力しなおし。。。。。
FAXというコンピューターデータではない紙と、どこが違うのでしょうか?
このことは、当然、ミスを産み出す原因になりえます。ですから、チェック、再チェック。
なにやら EXCEL に入力する分、さらに手間がかかっているように思いませんか?筆者は思います。「それは、ものすごく、もったいない。無駄です」と。
医薬品の流通の場面でも、なんとか、「はじめからパソコンについている EXCELで」「EXCEL はITだ」と、頑張っていらっしゃるケースが多いのですが、EXCELが出てくれば出てくるほど、人手は必要になってしまいます。今、流行の AI も活用できることはありませんし、せっかくのオンラインやクラウドにも利用できません。ただ、人と人が直接やりとりするしか出来ないのが EXCEL です。
弊社の Pharcon(ふぁるこん)というシステムも、実は、こんなところから産まれました。
受けたデータは、そのままに。
EXCELやFAXで届いたデータは、一度だけ受けたデータと同じ形に変換。
そして、業務の最初から最後まで、すべて、データで。
結果の送信もデータで。
そうなるように、JD-NET や MEDICODE といった VAN がたくさん整備されていますが、うまく活用できず、人手不足と手間が増えるばかりの現状に「 おかしい。EXCELを活用しているのに。なぜ」そんな声も多く聞かれます。
また、他の人や会社のことは、どうでもよいのだ、自分のところだけ合理化すれば・・・・考え方は悪くはないのですが、みなが、そのように考えると、自分のところで入力し、チェックし、保存し、管理し、かえって手間が増えてしまいませんでしょうか?
では、いったいどうすればよいのでしょうか?
その答えのひとつは、「データがブツブツ切れているから」「それは EXCEL を使うから」「データをシームレスに流れるようにするだけで、生産性は一気に向上します。お仕事を見直しませんか。」で、そうするための道具として Pharcon(ふぁるこん)があります。Pharcon(ふぁるこん)も、選択肢のひとつにすぎませんが、いかがでしょうか。EXCELをやめて、生産性を向上させませんか?
NJCの Pharcon(ふぁるこん)