何度となく NC(ネットワークコンピューター)という考え方が登場しては消え、登場しては消えを繰り返しているように思える。

かつてコンピューターはメインフレーム(ホスト)と呼ばれる「親機」があって、ターミナル(端末)と呼ばれる「子機」がつながり、ほとんどすべての処理は、メインフレームで行うものであった。端末には、大した能力もなければ、実用的な処理を単独で行うことは出来ない。いわゆる「オフコン」「汎用機」といった類のものだ。

しかし時代はインターネットとともに、分散コンピューティングに移行する。ネットワークに接続する仕組みがある独立したマシンが、それぞれ勝手にお互いに接続し、情報のやりとりを行う。それぞれのマシンは、かつての「ターミナル」ではなく、それぞれが「ホスト」ともなりうる。

ものの話によれば、メインフレームが中心だと、そこに爆撃を受けたらオシマイだが、分散させておけば、大丈夫だ、という理由で、インターネットやイーサネット、分散コンピューティングが普及したとの、まことしやかな噂を耳にしたことがある。(本当かどうかは、よく知らない)ともかく、現代は、分散コンピューティングが基本だ。

しかし、時々、ホストが中心にあって、ターミナルがアクセスして利用するのだ、と、いう旧時代を匂わせるような仕組みの、NC(ネットワークコンピューター)が登場する。

つまるところ、サービスや処理は、すべてホストがやればいいのだから、ユーザーは、「単にネットに接続するPC」さえあればいいのだ。高スペックである必要はなく、容量もいらない、みたいな話で、ASUS の EeePC は記憶に新しいところだ。
スマートフォンやタブレットも、時折、デフレ対策なのか、異様に低スペックのものも散見される瞬間があったりもする。

そんな流れのなかで、「また NCかー」と思うような仕様の OS 。 Google Chrome OS が2012年に登場。

EeePCにしても Chrome OS にしても、最近は「あれはどうなったのか」と思うほど、さっぱり聞かないが、実はほそぼそと(笑)生き残っていたりする。Chrome ブラウザだけで、全部クラウドだ、みたいなトンガッたものではなくなり、Android アプリが並行動作する、どこを向きたいのか、よくわからない仕様の OS として、探さないと見つからないところに存在している。

なにしろ NC なので軽い。しかし NC では使い物にならないので(失礼(^^;;)、オフラインでも使える Android アプリもインストールして(ここ重要)利用でき、ストレージに保存(ここも重要)できたりする。

筆者の場合、ChromeOS の存在すら、すっかり忘れていた頃に、何かと仰々しいWindows ではなく Android で軽量ノートはないのだろうか、と、探して、Android は原則タブレット。Lenovo Yoga Book もあるけれど、あれはタッチキーボードで、クリック感のある物理キーボード。USB外付けキーボードだと充電USBを埋めてしまうし、Bluetoothキーボードだと充電しなくてはいけなくて、電池の分重くなる。と、とにかく”理想の”モバイルPCを探しても、探しても、見つからなかったときに、
ASUS Chrome Book では Andorid アプリが動くと、知り、俄然興味が湧いて、購入にいたった。

なるほど ASUS か。EeePC の ChromeOS版か?

ともかく10.1インチ、11.1インチ軍用、12.5インチ高スペックと、いろいろとラインナップがある。

筆者が購入したのは キーボード付 2 in 1 で、クルリンパとタブレットにもなる 10.1型。ASUS ChromeBook Flip C101PA の法人版というモデルだ。

詳細のスペックや売り口上、特徴は、本家サイトにおまかせするとして、
筆者にとっては”理想の”モバイルPCとして、ずいぶんと活躍してくれている。

仰々しいことをするには向かない。イラストレーター、フォトショップ VS2017 どれも使えない。でも、こうして、ちょっとした合間に、電車で移動中に、さくさくっとブログを編集することくらいは出来る。
予定の確認やメールの返事、パワーポイントの修正、などなど、仕事の事務的部分の大半は、これで十分だ。

法人モデルにしたのは、メモリ4GB に ストレージ 32GB と容量が大きかったことによる。このスペック、なんとも EeePCしているではないか。900g という重さ、B5サイズという小ささ、意外に高精細なディスプレイに、非常に入力しやすい(Surfaceのようなキータッチの)キーボード・・・・Android の ノートPCだと思いながら、日々、持ち歩いている。

これまで NEC の Hybrid-Zero で満足していたのだが 13.3インチはデカイ。Windows なので、何をするにしても仰々しい。気づかないうちに裏でアップデートがかかり、ギガが減る(笑)なんだかんだとバッテリーを食い、4時間くらいで使えなくなる、というモバイル時の不満は、ほぼ解消されたといって良い。

NC な ChromeOS は、もう消えそう・・・だったにも関わらず、そこに Android のふりかけを掛けると、ここまで使えるものになるとは。

そして、同時に、やはりメインフレームになんでもやってもらおう(クラウドなんだから)、ターミナルは貧相で構わないよ、というNCな思想は、やはり使い物にならず(受け入れられない)自律した分散コンピューティングこそが主流だ、と、改めて思ったりもする。その一つの証拠に、クラウドなんだから、ブラウザで使えるはずなのに、アプリをダウンロードし、ストレージにインストールして利用する潮流は、一向に変わる気配がない。

初期の NC的な思想のままでは、Chrome OS も消えていたかもしれない。
Android という自律型の利用が前提の分散コンピューティングを取り入れたから、生き残こり、こんなに使いよいPCを生み出すことになったのだ、と、思ったりする。